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銀行の搾取的ピンハネビジネスを解体するブロックチェーンの革新力

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本記事では「Web3.0時代とブロックチェーン」をテーマに、主に次のことに中心に解説していきます。

この記事を読むことで理解できること

◎Web1.0、Web2.0、Web3.0はそれぞれどんな特徴をもつのか?
◎これまでのインターネットの技術は何を可能にしたのか?
◎これからのブロックチェーン技術は何を可能にするのか?


これから仮想通貨投資を始めるにあたって持ち合わせておくべき前提知識も身につけられる内容になっているので、ぜひ最後まで読んでほしいと思います。

仮想通貨とブロックチェーンとWeb3.0


まず、仮想通貨の基盤をなしているのは「ブロックチェーン」の技術です。そしてそのブロックチェーンは「Web3.0」の実現を根本から支える重要な技術となります。

『Web1.0→Web2.0→Web3.0』

これまでのWebの進化はこの3つの主要なフェーズに分けられますが、その中のWeb3.0時代における主要技術がブロックチェーンの技術なのです。

したがって、仮想通貨投資をしっかりと理解する上ではWeb3.0とブロックチェーンの理解は不可欠です(仮想通貨投資は「Web3投資」と言われることもあります)

そこで、ここではまず初めに「Web3.0とは何か?」の説明から入ります。

Web3.0の特徴を把握するには、それ以前のWeb1.0・2.0と比較するとわかりやすいです。それぞれの特徴を簡易的にまとめると次の図のようになります。

Web1.0の特徴


インターネット黎明期であるWeb1.0の時代は1990年代から2000年代初頭にかけてです。この時代のメイン媒体は個人のブログや企業のホームページ等のウェブサイトでした。ウェブサイトは基本的に情報を提供するために作られており、そのウェブサイトの訪問者(ユーザー)は受動的にコンテンツを閲覧することが中心でした。

そこではユーザーがウェブサイトの管理者と直接やり取りをすることはあまりなく、またユーザー間でコミュニケーションを取ることもほとんどありません。ユーザーは一方的に提供された情報をただ受信するだけというのが一般的でした。

そのため、このWeb1.0時代のインターネットは「一方向の情報提供の場」だったと言えます。

Web2.0の特徴


しかし、2000年代中盤から2010年代になるとインターネットはWeb2.0と呼ばれる新たなフェーズに移行しました。Facebook、X(旧Twitter)、YouTubeなどに代表されるSNSが広く普及し、各ユーザーは自分のコンテンツを手軽に生成・共有することが可能になったのです。

そこにはかつてのような情報の発信者と受信者との間の明確な境界線はありません。各人が自分のSNSアカウントを通してコンテンツのシェアやコメントを活発に行うになり、いわば誰もが情報発信者にも受信者にもなり得るような状態になりました。

これによりインターネットは「一方向の情報提供の場」から「双方向のコミュニケーションの場」へと進化を遂げたと言えます。

Web3.0の特徴


そして2020年代に入ると、Web3.0と呼ばれるさらに新しいフェーズに突入することになります。Web2.0においてはユーザーにSNSを提供するプラットフォーム側が大きな権限を握っていましたが、その権力を“分散化”させて権力一極集中の状態からの脱却を目指そうとするのがWeb3.0の時代です。

Web2.0では各ユーザーが自分のSNSアカウントを通してさまざま活動はできても、そのアカウントの所有権はユーザーにはありません。例えばFacebookであればMeta社、YouTubeであればGoogleがアカウントの所有権やデータの管理権限を持っており、規約違反などを理由に彼らがユーザーのアカウントをBANしたとしてもユーザーは基本的にはそれに抗うことはできないのです。その点ではユーザーは非常に弱い立場ということが言えます。

また、彼らプラットフォーム側はユーザーの個人情報も取得しており、そこに集約された膨大な個人情報は彼らの広告ビジネスに利用されています。これはユーザーのプライバシーの観点から見ても健全であるとは言い難い状態です。

このような各ユーザーのデータがプラットフォームによって一元管理される体制から脱却し、ブロックチェーン技術を駆使してプラットフォーム側の大きな権限に支配されることのない「分散型」のネットワークでより自由に・安心して活動していける状態を作ろうとするのがWeb3.0の時代ということです。

プラットフォーム側がユーザーの膨大なデータを一元管理する「中央集権的」管理体制から、各ユーザーそれぞれが自分のデータを管理する「非中央集権的(分散型)」管理体制への移行を目指すということです。(Web2.0で使用するアプリをAppsと表記するのに対して、このWeb3.0での分散型アプリはDApps (Decentralized Applications) と表記します)

Web1.0・Web2.0・Web3.0の特徴まとめ


ここまでをまとめると、次のようになります。

◎Web1.0からWeb2.0への変遷はネットの情報や人との関わり方(インタラクション)の変化に主眼を置いたものであり、キーワードは「一方向から双方向へ」

◎Web2.0からWeb3.0への変遷はユーザーのアカウントやデータの管理体制の変化に主眼を置いたものであり、キーワードは「中央集権的から非中央集権的(分散型)へ」

本記事のテーマに直接関係するWeb3.0とその実現を支えるブロックチェーンの技術は「非中央集権的(分散型)」が一つの重要なキーワードになるのでまずここで押さえておいてください。

労働市場と金融市場の非中央集権化


ここまで見てきたように、ブロックチェーン技術を基盤にしたWeb3.0時代は「非中央集権的(分散型)」というのが一つのキーワードに挙げられます。

権力が一箇所に集中しておらず、ユーザー一人ひとりが自分のアカウントデータの所有権と管理権限をもつ(権力が分散されている)

このような状態がWeb3.0を象徴するあり方です。

そしてこの「非中央集権的(分散型)」のあり方が特に重要になってくるのが“金融の世界”です。ブロックチェーンの技術による金融市場の非中央集権化は、既存の資本主義社会を根本から変えてしまうほどの大きな可能性を秘めていると言えます。

では、金融市場の非中央集権化とはどのようなものなのか…?

ここではその内容をわかりやすくするために次の二つを比較しながら解説します。

◎「すでにインターネットの技術が可能にした“労働市場”の非中央集権化」
◎「今後ブロックチェーンの技術が可能にする“金融市場”の非中央集権化」

インターネットの技術が可能にしたもの


インターネットの技術は社会に何をもたらしたのか…?

それは過去のこちらの記事「学校教育とDeFiとNFTとMetaverseと幻の大地」でも述べたことですが、インターネットの技術は既存の労働市場における中間搾取者の権力無効化をもたらしました。

労働市場の中間搾取者とは「会社・事務所・TV局」などです。

一般的に会社とそこに所属する従業員の間には明確な権力関係があります。また、芸能事務所とそこに所属するタレントの間にも明確な権力関係があります。

そこでは従業員やタレントは会社や事務所のやり方に強くは抗えません。会社の上司・芸能事務所の社長・TV局のお偉いさんという権力者に嫌われた時点で仕事がもらえなくなり、それが原因で生活費を稼げなくなってしまうからです。そのため労働時間や収益の配分比率における不利な(搾取的な)契約を強いられても、従業員やタレントは立場が弱いがゆえにその内容に納得せざるを得ないことも多いのです。

しかし、インターネットと個人メディアの発達によってそのパワーバランスは崩れました。

芸能人であれば、インターネット上でSNSなどの個人メディアを有効活用することで事務所やTV局という中間搾取者がなくても自分の作品を直接多くのファンに届けられるようになりました。また一般人であっても、同様にインターネット上で個人メディアを有効活用することで会社という中間搾取者がいなくても自分で直接信用と仕事を獲得してお金を稼ぐことが容易になりました。


事務所を辞めて独立する芸能人や会社を辞めて個人でビジネスをする人がどんどん増えてきている事例からもこれは理解できると思います。

もちろん、先に述べたようにSNSなどのアカウントはユーザー個人に完全な所有権があるわけではありませんが、それでも会社や事務所の力を借りずとも個人でビジネスができるツールとしてはかなり有効に機能したのです。それまではひとたび権力者に嫌われるとそれだけで仕事で日の目を見ることがなくなってしまう状況でしたが、インターネットと個人メディアの発達はその権力を無効化し、既存の労働市場の勢力図をガラリと変えたと言えます。

これにより多くの人は権力者に理不尽に搾取されることなく、自由に経済活動を行うことができるようになったのです。これが、インターネットの技術が可能にした労働市場の非中央集権化です。

ブロックチェーンの技術が可能にするもの


ここまで述べた通りインターネットの技術は労働市場の中間搾取者の権力を無効化しましたが、今後はブロックチェーンの技術がいよいよ金融市場の中間搾取者を排除しにかかることになります。

金融市場の中間搾取者とは、言うまでもなく「銀行」です。

これまでは、預金と称したお金を多くの国民から集めそれを誰にいくらで貸していくらの利息を付けるのか、それはすべて銀行や信用格付け会社などが決めていました。日本であれば、貯金信仰が強い多くの日本人に超低金利の預金を促す一方で、車やマイホームの所有をステータスだと思い込む人々に高金利のローンを組む…。これまで銀行はその中間搾取者としての権力を行使し、金融リテラシーの低い国民全員を対象にした大規模ピンハネビジネスを行ってきたのです。

もちろん日本に限らずこのピンハネビジネスの構造自体はどこの国でも同じです。そこでは、金利・期限・担保などは貸し手や借り手に決める権利は一切なく、彼らを仲介している中間搾取者としての銀行にすべての決定権があります。

しかし今、そんな中間搾取者としての銀行の特権がブロックチェーンの技術によって次第に失われつつあります。

銀行という仲介者がいなくても借り手と貸し手に高いインセンティブを与えた状態で、さらに中央集権的な審査なしで、資産の貸し借りができるプロダクトがブロックチェーン上に複数構築されつつあるのです。


これまでの「中央集権型」の金融形態が、ブロックチェーンの技術によって次第に「非中央集権型(分散型)」の金融に取って代わろうとしてきているということです。

「中央集権型金融」から「非中央集権型金融」へ
「Centralized Finance」から「Decentralized Finance」へ

この「Decentralized Finance」を略して「DeFi(ディファイ)」と言います。DeFiはWeb3.0の時代の基幹産業の一つであり、上の図で挙げたレンディング系プロダクトはDeFiのごく一部です。これは既存の金融に取って代わる可能性を秘めた新しい金融システムと言えます。

これが、今後ブロックチェーンの技術によって起こり得る金融市場の非中央集権化です。

Web3.0時代の資産の管理方法


また、これに付随して押さえておくべきなのが自己資産となる仮想通貨の管理方法です。Web3.0では自分の資産も「非中央集権的」に管理していくことになります。

中央集権型取引所(Centralized Exchange, CEX)では、ユーザーの資産は取引所がまとめて管理します。CEXを利用するユーザーの資産は取引所の下で保管され、各ユーザーに対しては資産の残高情報が提供されるのみです。ユーザーがそこで売買取引を行う際にも、その取引は取引所の管理のもとで実施されることになります。

一方、非中央集権型取引所(Decentralized Exchange, DEX)では、ユーザーの資産を取引所が管理することはありません。DEXを利用するユーザーの資産は各ユーザーが自分専用のウォレットを用いて自分で保管することになります。この保管方法を「セルフカストディ」と言います。ユーザーがDEXで売買取引を行う際は、自分専用のウォレットをDEXに接続して自己管理のもとで取引を実施することになります。

そしてこの両者の最も大きな違いはセキュリティ面にあらわれます。

CEXでは各ユーザーの資産の保管場所が取引所に一極集中しているため、ハッキング被害に遭うリスクは高まります。ハッカーの立場からすると資産の保管場所が集中している箇所を
狙えば一度のハッキングで莫大な資産を盗むことができるため、労力をかけてでもハッキングをする価値があるからです。

しかしDEXの場合、各ユーザーの資産は取引所には置いていません。保管場所は各ユーザーのウォレットごとに分散されているため、ハッカーからしてもハッキング意欲が削がれます。
一度のハッキングにかける労力はCEXと同じでも、そこで盗むことができる資産は個人ウォレットレベルの小さなものになるからです。

したがって、セルフカストディ型の保管方法の方がハッカーの標的になるリスクも低いと言えます。セキュリティが技術的に堅牢というわけではないですが、その構造上より安心して保管や管理ができると言えるのです。

資産の保管場所が一箇所に集中しておらず、各ユーザーが自分のウォレットごとに自己管理する(資産の保管場所が分散されている)

この資産保管・管理方法も、Web3.0時代の非中央集権型金融の特徴になります。

資本主義社会からポスト資本主義社会へ


ここまではWeb3.0のキーワードの一つである「非中央集権化(分散型)」に焦点を当て、その中でも特に重要となる“金融市場における中央集権化(中間搾取者の権力無効化)”を解説してきました。

では、これがなぜWeb3.0時代において特に重要になるのか?

それはこれ自体が長年続いてきた資本主義体制そのものを根本から揺るがす革命的な力を持っているからです。金融市場における中間搾取者の権力無効化は今なお根強い問題を引き起こしている資本主義体制を解体し、次の新しいステージである“ポスト資本主義社会”を構築しうるほどパワーを秘めていると言えるのです。

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